2026.08.01 2026:08:01:15:49:15
所属している日本旅行作家協会の集まりで、「妻家房(さいかぼう)」四谷本店へ。代表取締役の呉永錫さんの講演と、総料理長で奥様の柳香姫さんのキムチづくり実演。妻家房(特にアトレ恵比寿店)はお気に入りの店で、個人的にとても楽しみにしていた会です。
ファッションの世界から韓国料理へ
驚いたのは、呉永錫さんは当初ファッションの世界にいたこと。留学生として文化服装学院で学び、その後就職した京王百貨店でも婦人服売り場を担当していたそうです。百貨店の婦人服売り場が花形だった時代の話も、とても興味深いものでした。
妻家房を始めたきっかけのひとつには、「韓国料理は焼き肉だけではない」という思いがあったとのこと。このあたりの経緯は、こちらのインタビュー記事に詳しく紹介されています。
四谷本店のキムチミニ博物館が会場
四谷本店を訪れるのは今回が初めて。1階には韓国食材やキムチなどを扱う売店があり、奥にはキムチミニ博物館があります。2、3階がレストランです。ミニ博物館ではキムチの歴史や種類、昔の保存方法などが紹介されていて、思っていた以上に勉強になります。韓国料理や発酵食品に興味がある人は、食事とあわせてぜひのぞいてみて。
目の前でマッキムチづくり
この日は、白菜のキムチづくりを目の前で実演していただきました。どどんと置かれた大きな白菜を、柳さんがサクサクと二つに割って塩漬けに。続いて、あらかじめ塩漬けされた白菜が登場するところはさすが料理教室です。白菜は搾らず、ざるに載せて自然に水を切るのがポイント。搾るとうま味まで出てしまうためNGなのだそうです。
そしてキムチの素となるヤンニョム作り。薬味となるニラや大根などを刻み、塩や唐辛子、ニンニク、アミの塩辛、魚醤、(韓国の)梅エキスなどを混ぜ込みます。塩には特にこだわっていて、ご夫婦で韓国・慶尚道の海辺にある塩田を訪ね、そこから輸入しているとのこと。粗塩といっても、日本で食べ慣れているものより粒が大きく、なめてみると最後にほのかな甘みが残ります。キムチの複雑なうま味を引き出すためには、やはりその土地の調味料が必要なのかもしれません。現在、販売するキムチなどは自社工場で製造されています。
ヤンニョムを塗り、挟み込む。

見事なミルフィーユ状に!
昔の韓国では、甕を土の中に埋めてキムチを保存・発酵させていたそうです。「冷蔵庫で保存するよりもおいしかった」と柳さんは語ります。マンション暮らしが増えた現在では、キムチ専用冷蔵庫が定着しています。キムチは約120種類もあり、白菜が一年中作られるようになったことで、季節を問わず白菜キムチを食べられるようになったとのことでした。

白菜の外葉をくるんと巻いて容器に収めて保存。巻き方も美しい。
自慢のキムチと夏限定のコングクス
実演と講演のあとは、お楽しみのランチ。できたてのキムチを試食させてもらうと、参加者は一様に「おいしい!」。生キムチ(浅漬け)はシャキシャキしていてサラダのよう。実は私、あまり辛いキムチが得意ではありませんでした。ところが、目の前で作っていただき、その工程を知ってから食べると、とてもおいしく感じられました。キムチも漬物なのだと、しみじみ。柳さんが「キムチがないとごはんが食べられない」と話していたのも、なんとなく分かるような気がします。発酵食品で乳酸菌も豊富なキムチ、食欲が落ちやすい夏にもよさそうです。
イカのキムチが絶品でした。
食事は総料理長一押しという夏限定の「コングクス」注文。韓国の夏の定番メニューで、冷たい豆乳スープ麺です。大豆は自社で皮をむいているそうで、なめらかすぎず、しっかりと豆の存在を感じるスープです。そうめんのような麺に、コクのある豆乳スープ。辛いものが苦手な人にも食べやすく、食欲がないときにおすすめです。
最近はクルーズ取材で韓国に立ち寄る機会が増えましたが、訪れるのは釜山や済州島がほとんどで、ソウルにはとんとご無沙汰です。キムチを意識して食べる機会は少なかったので、キムチや韓国の食文化について、改めて考える機会にもなりました。
キムチや日本との関わりについて伺うなかで、埼玉県日高市の高麗神社の話が出てきました。
日高市は、奈良時代に高麗郡が置かれ、高句麗から渡来した人々と深い関わりがある地域です。高麗神社では、高句麗から渡来した高麗王若光を主祭神として祀っています。
私は以前、高麗神社や日高市との関わりや、ご当地グルメの「高麗鍋」を取材したことがあります。現在もキムチづくりなどを通して地域との交流が続いていると聞き、うれしいものがありました。社長夫妻は韓国と日本をつなぐ活動にも取り組んでいるそうです。おふたりの夢は「キムチのテーマパーク」をつくることだそう。どんな施設になるのか、実現したらぜひ訪ねてみたいです。
妻家房四谷本店は四谷三丁目駅からすぐ。消防署のほぼ隣という、分かりやすく便利な立地です。今回はプライベートイベントでしたが、四谷本店では柳香姫さんを講師に、キムチと韓国料理を学べる料理教室も開催されています。詳細は公式サイトを。
妻家房 四谷本店
所在地:東京都新宿区四谷3-10-25 永明ビル
アクセス:東京メトロ丸ノ内線・四谷三丁目駅2番出口から徒歩約1分